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石裂山(879.4 m) 三等三角点 栃木県鹿沼市 地形図:古峰原
1999(平成11)年2月26日(土) 晴


 6年半前に一度行っているが写真もないし記録も取ってなかった。出来れば鳴蟲山と併せて登ろうとしたが石裂に着いたのが11時15分だった。今日は石裂山だけになりそうである。加蘇山神社の無料駐車場には6台駐車していた。この時期に早くから登っている人がいるもんだ、などと思いながら準備をする。たかが6年前の事なのだが登山道等もすっかり忘れてしまっている。唯一途中に休憩所と千本桂があったのは記憶しているが。加蘇山神社に詣でてから行こうと階段を登る。登り始めて「ああ、こんな場所だったか」と気がつく始末であった。下の道と合流し先へ行くと周囲はうっそうとした杉である。百年単位の杉もあるが、斜面などはどう見ても植林ではないかと思う。しばらくして右手に高さ4・5メートルの滝が見えた。側には清滝と案内があり確かに清らかそうだが、水量も乏しく見て感激する滝ではない。
神社先の登山口方面

 沢筋をしばらく行くと前方に休憩所が現れる。あづまや風の造りである。ここからは見えないが案内には千本桂0.1qとある。先へ行くと桂の木が目に飛び込んでくる。前回の時には葉を繁らせていたが今はなくて少々物足りない。桂の手前には月山(つきやま)への分岐点が沢を越して続いている。桂を数メートル過ぎた辺りから踏跡が不鮮明になってきた。数回沢を横切ると道筋が分かるようになった。沢筋に沿ったルートのため、去年の台風の影響なのだろうか荒れている。しばらくして右に沢を渡ると目の前にこんもりとした岩が見え、これを沢側から巻いて登ると上が中の宮だった。中の宮には屋根だけの休憩所がある。登りついた左奥に祠があるようだ。岩の裂け目に祭ってありそうである。その右横からは鎖がルートに取り付けられている。ここでは特に鎖は必要としない登りであるが、岩が濡れている場合などの下降では必要かも知れない。

 10分ほどで奥の宮の下に来ると「石裂岩」と案内が立っている。右奥上には奥の宮の岩の裂け目が少し見える。案内板の場所には幅2メートル、長さ十数メートル程もある岩が上に(奥の宮)伸びている。これを石裂岩と言うのか、上に見える奥の宮を祭ってある岩の裂けているのを言うのか分からない。岩には左から巻いて上に出る事も可能だが、せっかくだから岩の方から行くことにした。岩には手摺りと鎖があり、昨日の雨で岩が濡れて滑りやすいが問題ない。途中で下ってくる人に会ったが、小川沢から登ってきたとのこと。奥の宮の数メートル手前では靴音が岩の空洞に共鳴している。鳴龍(なきりゅう)とはいかないが、鳴き岩とでも呼んでおきますか。空洞内には大小いくつかの祠があり、中央に木製の祠が、他は石祠であった。


 奥の宮を過ぎ沢を巻くように行く。東方面は樹間越しに鳴蟲山・鶏鳴山・笹目倉の周辺が見渡せる。木々も落葉樹が多く、本にもヤシオツツジが見事と書いてある。しばらくして白い橋が架かっている場所に着くが、本に記載してあるヒゲスリ岩らしい橋は見た目にも真新しく表面も酸化してない。長さ3・4メートルのアルミ製だった。ここは数メートルしかないが左右ともに深く切れ落ちた痩せ尾根である。次は10段くらいの梯子、その先には橋ではなく桟(大げさに言えば断崖に沿わせた桟道)が2カ所出てくる。以前は記憶にないが鎖に捕まって慎重に通過した場所らしい。4カ所目を過ぎると稜線の出るが、正面は深く切れ込んでいて左右は尖った岩である。ここを左に進み大きな尾根にあがる。しばらくは高低差もなく歩きやすい道を行くと東剣ノ峰に着く。ここにはアルミの梯子の部品・電動工具等が置いてあり、下を見ると3人の作業員が鎖場に梯子を付けていた。下から時々かすかに話し声が聞こえたがこの人たちらしかった。上から大きな声で「通れますか」と聞くと、「いいよ」と言って仕事を止めて真下から離れた。さて下ろうとしたが作業用のロープが2本、本来の鎖が1本あって絡んでおり、何処を伝って降りたらいいか迷ってしまった。梯子はまだ数本のアンカーしか打ってないらしい。本来の鎖を伝って下り、梯子の横にどうにか足を着くことが出来た。「仕事中、すいませんね」と言うと、迷惑がりもしないで「上がってくるなら下から物を運んでもらえば良かった」等と冗談を言う。ここの梯子は今日中には完成するとの話であった。垂直近くになった場所だから梯子の方が安全に通過できる。

 再度登り返すと西剣ノ峰に着く。石裂山が目の前にある。しかしこちらと山頂の間はほぼ垂直に切れ込んでいて、どうやって以前は通過したのか不安になる。10メートル東に展望台があり(案内板には30メートル)、日光方面は石裂山に遮られ見えないが、東側は最高の景色である。休憩後山頂に向かう。ほとんど垂直に近く下っていくと、鎖と鉄梯子があり鞍部に出る。西からは御沢峠との案内板が立っている。入粟野の加蘇山神社からのルートらしい。山頂への道は西剣ノ峰から眺めた程ではなく、急斜面には違いないが難なく登れた。月山との稜線に出たら西側に進むとこんもりとした木々の場所が石裂山山頂であった。山頂は痩せ尾根の終点と言うような所で狭く、日光連山側を除いては展望は得られない。すぐ手前には周遊コースの次のピーク、月山が見える。


 月山への道は何処にでもある尾根筋である。やや下り登り返すと月読命を祀る祠の横に出る。祠の前には石の鳥居があり下からの信仰本来のルートらしい。反対側には小沢峠へとの道標があり、雪が数センチ積もっている。奥の宮で会った人はここから来たのだろう。
眺めは日光連山とやや東によった側が眺められる。下りは以外と急で鎖も取り付けられている。下りきると緩やかになりしばらく続く。右の斜面は杉林だが、左は落葉樹で明るい。途中で休憩所へ下る分岐に出る。立木に小さな道標で休憩所まで40分と書いてある。直進は通行止めとは書いてないが、休猟地区と書かれた赤い看板が道を塞いでいる。ここからは杉林の中を一気に下って行く。しばらくしてアルミ製の梯子があったが、下部が曲がっている。どのような状況でなったか分からないが早くも壊れてしまっていた。うんざりした頃に休憩所が見えてきた。沢を越え対岸に出ると休憩所である。後は駐車場までわずかである。


駐車場 11:22(0.22)11:44休憩所 11:59(0.17)12:16中の宮 12:29(0.09)12:38 奥の宮 12:42(0.45)13:27 西剣ノ峰 13:45(0.14)13:58 山頂 14:16(0.10)14:26 月山 14:39(0.39)15:18 休憩所 15:18(0.13)15:31 駐車場 


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